阿修羅像


阿修羅展へ。
どうしてみな阿修羅に魅かれるのかといえば、
やはりそれは、阿修羅の表情の豊かさに由来するものだと思う。
他の八部衆も含め、この乾漆造の阿修羅、木を彫り出したのとも、
鋳造でつくったのともまたちがう趣きのある造形。
容貌の点でいえば、胸部だけながら五部浄も捨てがたい。
ただただ一点凝視の彼のこめかみの起伏からは、
「あぁ、このひとは奥歯を噛みしめているのだ」
といったことがわかる。
そういう厳しい表情をしている。
だから正面からだけでなく、横貌もまたうつくしい。
ただ、この阿修羅の表情の豊かさは別格か。
眉をひそめているのはわかるが、
実際それがどのような感情を表しているかは定かでない。
怒り、哀しみ、喜び、苦しみともとれる、いい表情をしている。
見るひとは、その貌を見つめその阿修羅の精神の豊かさを感じる。
とある皇子を思いつつつくられたものなのかもしれない。

